▸ PROGRAM ◂   A U D I O   J O U R N E Y
LIMINAL
JOURNEY
境 界 の 旅
未来は、もっと明るいものだと思っていた。
1980年代から2000年代へかけて、
都市は光に満ち、消費は祝祭となり、
エンターテインメントは終わりのない夢を見せていた。
しかし時代は移ろう。
記憶はデータとなり、
過去は引用され、
現実と仮想の境界は静かに溶けていった。
あの日描いた未来と、今ここにある現実とのあいだ。
このライブは、その狭間に漂う感覚を、
電子楽器テルミンの声でそっと掬い上げる試みである。
残響するバブルの気配。VHSのノイズ。深夜の高速道路。誰もいないプールサイド。
記憶の迷宮を巡る音の旅をお楽しみください。
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全六章による音の叙事詩  ·  SIX MOVEMENTS  ·  ONE ERA  ·  NO RETURN
01
Backroom Mall
MALL SOFT
東京の街をさまよううちに、私はひとつの巨大なモールへ迷い込む。かつて人々で賑わったその場所は、今では誰もいない。吹き抜けに響くムードミュージックだけが、時の流れから取り残されたように繰り返される。やがて館内放送が静かに流れ始める。まるで、こちらの存在に気づいたかのように。
02
白鳥
CLASSIC AMBIENT
テレビ売り場の画面が一斉に点灯する。時報のあとに始まるのは、かつて誰もが親しんだ文化番組。優雅な旋律は空間を満たすが、どこか遠い。クラシック音楽もまた、テレビ文化やVHSテープとともに、過去の記憶へと変わりつつある。
03
Memory Pool
VAPORWAVE AMBIENT
今は誰もいないプールサイド。夏の日差し、子供たちの笑い声、遠くから聞こえるアナウンス。そんな記憶は、いつしかデータとなり、静かな水底へ沈んでいく。
04
Liminal Journey
RETROWAVE
気づけば私は、SF映画で見たような未来都市を走っている。ネオンに照らされた高速道路。どこまでも続く夜景。この道の先に何があるのかはわからない。ただ、もう少しだけ夢を見ていたい。
05
Dream Rush
PSYCHEDELIC HOUSE
景色は再び姿を変える。時代は80年代から90年代へ。過去の音楽は解体され、サンプリングされ、新たなリズムの中で蘇る。行き場を失った快楽は、クラブのフロアで夜を踊り続ける。
06
Echoes
DREAM TRANCE
大空にメロディが響く。子供の頃に思い描いた未来とは、少し違う景色がそこにある。それでも電子の歌は鳴り続ける。暗い雲を突き抜け、光の中へ。長い旅の果てに、私は静かに現実へ帰っていく。
テルミン  Theremin
1920年代にロシアの物理学者レフ・テルミンが発明した、世界最古の電子楽器のひとつ。演奏者は楽器に触れることなく、両手を空中で動かすだけで音程と音量を操る。その浮遊するような音色は、SF映画のサウンドトラックやホラー音楽に多く用いられ、現実と非現実の狭間を漂う感覚を呼び起こす。
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本演奏は、ひとつの時代の記憶に捧げられる
輝きを知り、失い、それでも手放せなかった者たちへ

dedicated to those who remember · and those who never forgot

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